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EVENT

イベント

公開講座

第29回 公開講座「国際文化基礎講座」
多文化社会の葛藤と克服の試み -現代ヨーロッパにおける他者との接触-


チラシ (クリックすると拡大します)


日 時 :2023年11月11日(土)13:00~16:30
実施形態:オンライン(Zoomにて開催)
対 象 :どなたでも参加いただけます。
参加料 :無 料
お申込み方法:以下の申し込みフォームから2023年11月2日(木)までにお申し込みください。
申し込みフォーム

開催日前日までにZoomのURLならびに講義資料のダウンロードについてご案内します。

※紙での資料送付を希望される方は、返信用封筒(角2サイズの封筒のあて名に「送付先住所・氏名」を記載し、250円切手を貼付)を、2023年11月2日(木)までに下記問合せ先宛にお送りください。またその際、封筒の表に赤字で「公開講座資料送付希望」と記載願います。

問合せ先

東北大学大学院国際文化研究科教務係
〒980-8576 仙台市青葉区川内41番地
E-mail int-kkdk*grp.tohoku.ac.jp (*を@に変換してください。)


プログラム

2023年11月11日(土)
13:00~  開講式(研究科長より開講のご挨拶)

13:05~14:05 講義1
テーマ:「不安」から紐解くフランス社会
講 師:和田 萌(東北大学国際文化研究科 助教)

14:15~15:15 講義2
テーマ:多文化社会ドイツの葛藤 -難民受け入れを視点に-
講 師:藤田 恭子(東北大学国際文化研究科 教授)

15:30~16:30 ラウンドテーブル
それぞれのテーマについて、講師を交えて歓談をお楽しみください。


国際文化基礎講座とは
2023年度講義の要旨および講師の紹介
これまでに開催された講座

主催 東北大学大学院国際文化研究科


国際文化基礎講座とは

目まぐるしく変動する国際情勢、いまだに混迷を続ける日本経済、21世紀に突入していよいよ抜本的な対応を迫られる環境・資源問題、多様な宗教や文化に起因する国家間・民族間の軋轢など、私たちは、身の回りの様々な問題に直面しています。これらに対処するためには深い洞察力が求められることは、いうまでもありません。
平成5(1993)年に大学院国際文化研究科は、諸外国の言語や文化、国際的な文化の交流の意義やそれに内在する諸問題を深く理解し、高度の専門的な知識を有する研究者や実務者を養成することを目的として設置されました。さらに、平成27(2015)年にはますます加速化するグローバル化に学術的に対応すべく、本研究科は国際文化研究専攻という1専攻のもとに、地域文化研究系、グローバル共生社会研究系、言語総合研究系という3つの教育プログラムの単位を組み込んだ教育研究体制へと改編することになりました。このそれぞれにおいては自文化をも相対化できる深い異文化理解、グローバルな諸問題の解決能力とリーダーシップの養成、高度なコミュニケーション能力の涵養を目指し、その基礎の上により高度な専門的知見と能力を培うことを目標としています。
市民の皆さま・地域の皆さまと問題意識を共有しながら、歴史を紐解きつつ、現代を、そして将来を見据えていきたいと思います。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。


講義の要旨および講師の紹介

講義1

テーマ:「不安」から紐解くフランス社会

グローバル化が進展する中、多様な出自を持つ人々が国境を越えて移動する現象は、さまざまな仕方で社会に影響を与えています。フランスでも多くの移民が受け入れられてきましたが、彼らは世代交代を経て、今や社会を構成する市民の一員となっています。
一方で、移民出自の文化や宗教の流入は、「単一にして不可分な共和国」とされるフランス社会を分断するのではないかという声もあり、昨年の大統領選挙においては極右政党の候補者が決選投票に進むなど、排外主義や外国人嫌悪といった問題が大きな政治的争点となっています。
特に近年は、ムスリム・マイノリティの境遇をめぐる問題が盛んに議論されてきました。ここには2015年の『シャルリー・エブド』襲撃や、パリ同時多発襲撃事件など、イスラームの名を騙るテロに対する不安が社会の分断を深めてきたという背景があります。
本講義では、このような「不安」をめぐる政治を手がかりに、現代フランスの多文化社会について考えてみたいと思います。脅威とされる他者からの「安全」を求める声に対し、政治はどう答えようとしているのでしょうか。対立を対話に変えていく試みにも着目しつつ、この問題に取り組んでみたいと思います。

講 師:和田 萌(東北大学大学院国際文化研究科 国際政治経済論講座・助教)

◆専門:政治学、現代フランス政治

◆主要著書・論文:
「フランスにおける安全保障化の実践 ―政治的資源としてのライシテの動員―」『人間・環境学』 第30巻 (2021年)
‘Le rapport État-religions au Japon et ses portées juridiques’, Revue du droit des religions, vol.11 (2021)
『移民を排除する安全保障』(勁草書房、2023年)

◆本研究科での担当授業科目:
国際社会論Ⅰ・Ⅱ、プロジェクトリスクマネジメントⅡ、国際政治経済論総合演習A・B、国際政治経済論特別演習A・B、国際政治経済論特別研究A・B、国際政治経済論特別講義A・B


講義2

テーマ:多文化社会ドイツの葛藤 -難民受け入れを視点に-

国連・難民高等弁務官事務所によると、2021年末の時点で、戦争や迫害により故郷を追われた人はおよそ8980万人、そのうち、国外で難民となったのは2710万人で、その多くは、トルコ、コロンビア、ウガンダ、パキスタンなどの中低所得国で受け入れられています。しかしこのような状況のなかでもドイツは受け入れ国第5位(約125万6千人)であり、いわゆる先進国の中では突出して受入れ数が多くなっています。
この背景には、第2次世界大戦中のナチズムの負の歴史への思いがありますが、同時に、すでにドイツが多数の移民やその子孫とともに多文化社会を形成していることも大きな要因となっています。もはや、「移民」と「非移民」といった単純な区分けは不可能な状態になっているのです。しかし、言語や宗教をはじめ多岐にわたる点で、自分の知っている社会とは異なる社会からやって来た大勢の人々を受け入れることについて、疑念や不安を抱く人々もいます。
本講義では、多文化社会ドイツの姿を示すとともに、なぜドイツ社会が難民受け入れに前向きであるのかについてお話しします。また、そのことにどのような疑念を表明する人々がいるのかなどについても触れます。

講 師:藤田 恭子(東北大学大学院国際文化研究科 多文化共生論講座・教授)

◆専門:ドイツ語圏文学・文化

◆主要著書・論文:
「ドイツにおける職業教育の現状と課題 ―難民の社会統合の視点から」、『国際文化研究科論集』第28号、2020年、21-42頁
「ドイツ・ハレ市における移民・難民の社会統合 ─フィールドワーク中間報告」(共著)、日本ドイツ学会『ドイツ研究』第54号、2020年、65-72頁
「ドイツにおける教員不足問題―移民・難民の社会統合に関する研究のための予備的考察」、『国際文化研究科論集』第27号、2019年、15-30頁
『東欧文学の多言語的トポス』(共著)、水声社、2020年、111-172頁
『「周縁」のドイツ語文学 ―ルーマニア領ブコヴィナのユダヤ系ドイツ語詩人たち―』東北大学出版会、2014年

◆本研究科での担当授業科目:
多元文化構造論Ⅰ・Ⅱ、共生社会論、多文化共生論総合演習A・B、多文化共生共生論特別演習A・B、多文化共生共生論特別研究A・B、多文化共生共生論特別講義A・B


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