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認知神経科学的アプローチによる外国語習得研究―社会的相互作用を通した外国語習得の脳内メカニズムー

発表のポイント

  • 他者との相互作用による外国語学習とその脳内メカニズム
  • 外国語習得の成功を予測する個人差要因とその脳内メカニズム
  • 認知神経科学に基づく外国語教育への応用可能性

概要

新型コロナウィルス感染症の流行により、経済、労働、金融、生活など様々なレベルの変化を余儀なくされています。このことが、実は、私たちの外国語学習にも悪影響を及ぼすかもしれません。言葉が実際に使われる環境に身をおくこと(他者とやり取りをしたり、モノに触れたり、匂いをかいだりなど)は、私たちが言語を学ぶために必要不可欠なことです。

本研究では、外国語の習得が、母語のように人やモノ及びそれらを取り巻く環境との相互作用を通して習得されると仮定し、社会的場面からの言語習得に関与する神経基盤を機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) を用いて、解明しようと試みました。その結果、他者とやりとりする場面から言葉を学習すると、感覚・情動・社会認知システムが言語学習を支え、翻訳や暗記に依存する伝統的言語学習よりも、概念記憶の定着を促進することが明らかになりました。

さらに、学習初期に非言語システム(運動や社会認知等)の関与の度合いが高いことが、言語習得の成功を予測することも発見しました (Jeong et at.,2021, Brain and Language)。また、社会的相互作用や母語習得の基礎となる脳ネットワークに関する先行研究を精査し、社会的相互作用の中で言語を学ぶことの重要性と教育への応用可能性について、神経科学の観点から考察しました(Li & Jeong 2020, npj Science of Learning)

出版・公表など

問い合わせ先

Jeong Hyeonjeong (応用言語研究講座)
jeong(at)tohoku.ac.jp

※ (at)を@に変換して下さい

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