第25回公開講座「国際文化基礎講座」
東北大学大学院国際文化研究科
第25回 公開講座「国際文化基礎講座」
『世界で今 何が起きているか』
難民、移民、人口増加と人口減少、高齢化、食糧不足、砂漠化、気候変動、極右、独立運動、弾道ミサイル、経済制裁、版図拡大、グローバリゼーション、人工知能、#Me Too、…。昨今の国際ニュースで使われるキーワードは枚挙に暇がありません。この地球上では今、何が起きているのでしょうか。今年度の講座では、特に日本を取り巻く東アジアの国際関係と、地球に住む者には避けることができない食料と水資源の問題に焦点を当て考えてみたいと思います。
講義日程と各回テーマ
平成30年11月10日(土)14:00~16:20
テーマ:東アジアの国際関係と日本外交の戦略
講 師:勝間田 弘
平成30年11月17日(土)13:00~15:20
テーマ:世界の食料問題と水資源
講 師:佐藤 正弘
平成30年11月17日(土)15:35~16:35
ラウンド・テーブル
各回の講師を交えた歓談の時間を設けました。
お茶やコーヒーを飲みながら2回の講義を振り返りましょう。
*11月10日(土)は13時40分から「開講式」を行います。
・国際文化基礎講座とは
・平成30年度講義の要旨
・平成30年度講師の紹介
・これまでに開催された講座
・実施要領と申込方法
・キャンパス案内図・交通機関
主催 東北大学大学院国際文化研究科
後援 仙台市教育委員会
国際文化基礎講座とは
目まぐるしく変動する国際情勢、いまだに混迷を続ける日本経済、21世紀に突入していよいよ抜本的な対応を迫られる環境・資源問題、多様な宗教や文化に起因する国家間・民族間の軋轢など、私たちは、身の回りの様々な問題に直面しています。これらに対処するためには深い洞察力が求められることは、いうまでもありません。
平成5(1993)年に大学院国際文化研究科は、諸外国の言語や文化、国際的な文化の交流の意義やそれに内在する諸問題を深く理解し、高度の専門的な知識を有する研究者や実務者を養成することを目的として設置されました。さらに、平成27(2015)年にはますます加速化するグローバル化に学術的に対応すべく、本研究科は国際文化研究専攻という1専攻のもとに、地域文化研究系、グローバル共生社会研究系、言語総合研究系という3つの教育プログラムの単位を組み込んだ教育研究体制へと改編することになりました。このそれぞれにおいては自文化をも相対化できる深い異文化理解、グローバルな諸問題の解決能力とリーダーシップの養成、高度なコミュニケーション能力の涵養を目指し、その基礎の上により高度な専門的知見と能力を培うことを目標としています。
市民の皆さま・地域の皆さまと問題意識を共有しながら、歴史を紐解きつつ、現代を、そして将来を見据えていきたいと思います。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
講義の要旨
11/10(土)14:00~16:20 (休憩10分)
※13:40から「開講式」を行います。
東アジアの国際関係と日本外交の戦略
勝間田 弘(専門:国際関係論)
今日、東アジアの国際関係は混沌としている。この地域には多様な外交問題が山積しており、国家間の関係は緊張している。まず、北朝鮮の核開発に対しては、米国や韓国は粘り強い外交努力を続けているが、核廃棄に向けた具体的な展望は見えていない。他方、拉致問題については、日本政府は強硬な姿勢で臨んでいるが、平壌の政府が妥協する気配は一切ない。また、北方領土をめぐっては、安倍政権はプーチン大統領に対して積極的な外交攻勢をかけているが、返還の目処は立っていない。さらに、竹島や尖閣といった問題については、日中韓それぞれが独自の対応を模索しているが、根本的な問題解決には程遠い現状がある。
このような状況下で、日本は何をするべきなのか。どのような外交戦略により、いかなる国益を追求するべきなのだろうか。日本とは、ある意味で特殊な国家である。この国は、憲法の制約により海外で軍事力を行使できない。また、歴史的な問題を抱えているため、近隣諸国と友好的な関係を築きにくい。これらを背景に、日本には、より独創的な外交戦略が求められるといえよう。この講義では、東アジアの国際関係と日本外交の戦略について、多角的な視点から包括的にアプローチする。
11/17(土) 13:00~15:20 (休憩10分)
Photo by「United Nations Photo」
世界の食料問題と水資源
佐藤 正弘(専門:環境経済学)
20世紀後半、私たち人類は、「緑の革命」を通じて食料を増産し、急増する世界人口に対処しました。しかし「緑の革命」の成功には、品種改良や化学肥料の投入などと並んで、重要な前提条件がありました。それが水資源です。拡大する灌漑農地とそれをささえる水インフラの整備は、アジア諸国の農業生産性を高め、拡大を続ける都市に食料を供給し、急速な経済発展を支えました。
21世紀、世界の人口増加の中心は、アジアからアフリカへ軸足を移しつつあります。またそれに伴い、再び「緑の革命」に匹敵する食料の増産が求められています。しかし、20世紀の人口増加は水資源が豊富な地域で生じたのに対し、21世紀の人口増加はそうでない地域で生じています。この事実が、いよいよ顕在化する気候変動の脅威ととともに、世界の食料増産戦略に大幅な見直しを迫ることになります。
本公開講座では、2050年までの長期展望を念頭に置きながら、世界が食料と水との関係で直面する課題と、そこにおけるバーチャル・ウォーター貿易の役割について論じます。また、意外と知られていない、私たちの暮らしと水との深いつながりについても、いくつかご紹介します。
講師の紹介
勝間田 弘(東北大学大学院国際文化研究科・准教授・<国際政治経済論講座>)
◆専門:国際関係論
東アジアの国際関係、ASEANとアジア太平洋地域の外交、国際社会における規範の伝播といったテーマについて、国際関係論の領域における構成主義という観点から分析。
◆主要著書・論文:
「構成主義と東アジア地域の秩序」 『国際問題』 7-8月号 No.623 (2013)pp. 18-29.
ASEAN’s Cooperative Security Enterprise. Basingstoke: Palgrave Macmillan (2009).
Mimetic Adoption and Norm Diffusion: ‘Western’ Security Cooperation in Southeast Asia? Review of International Studies37. 2. (April 2011)pp. 557-576.
◆本研究科での担当授業科目:
東アジア国際関係I、東アジア国際関係II、国際政治経済論、国際政治経済論総合演習
佐藤 正弘(東北大学大学院国際文化研究科・准教授・<国際環境資源政策論講座>)
◆専門:環境経済学
気候変動と巨大人口時代に対応した新しい水利用をはじめ、持続可能でレジリエントな自然資本の利用方法について研究しています。また、ビッグデータを活用した経済システムの分析にも注力しています。
◆主要著書・論文:
『水資源の国際経済学―気候・人口問題と水利用のネットワーク化』 慶應義塾大学出版 (2015).
Quantifying the supplier-portfolio diversity of embodied energy: Strategic implications for strengthening energy resilience. Energy Policy 105 (2017)pp. 41-52.
「The contribution of quality and product variety to retail growth in Japan」 『経済分析』 194 (2017)
pp. 65-92.
◆本研究科での担当授業科目:
環境資源経済論、環境資源政策論特別講義 ほか
実施要領と申込方法
~会場~
仙台市青葉区川内41番地(東北大学川内北キャンパス)
マルチメディア教育研究棟6階大ホール
⇒地図
~対象~
どなたでも参加いただけます。
~募集人数~
100名(先着順にて締め切ります。)
~講習料~
一 般:2,000円
リピーター:1,500円(過去に本研究科公開講座の受講経験がある方)
学 生:無料 ※学生証のコピーを添えて申込み
2回出席した方には、『修了証書』を交付いたします。
~募集期間~
平成30年8月1日(水)~10月15日(月)
※まだ定員に達していないため、引き続き申し込みを受け付けております。
~申込方法~
ハガキ、FAXもしくは電子メールで、
①氏名(フリガナ)
②年齢
③性別
④職業(学生は学生証のコピー添付)
⑤現住所(郵便番号もご記入ください)
⑥電話番号
⑦過去の受講経験の有無
を、国際文化研究科教務係までお知らせ願います。
後日、講習料の納付方法等についてご連絡いたします。
申し込みの際に必要な受講生の情報を、連絡先の把握及び今後の公開講座運営上
の統計資料作成以外に、使用することはありません。
※今年度より駐車場の利用ができませんので、公共の交通機関をご利用ください。
なお、ハンディキャップのある方は、事前にご連絡ください。
申込・問合先
東北大学大学院国際文化研究科教務係
〒980-8576 仙台市青葉区川内41番地
TEL 022(795)7556、FAX 022(795)7583
E-mail int-kkdk@grp.tohoku.ac.jp
キャンパス案内図・交通機関
会場はマルチメディア教育研究棟6階大ホールです。
※不鮮明な場合はクリックすると画面が大きくなります
●駐車場の利用ができませんので、公共の交通機関をご利用ください。
なお、ハンディキャップのある方は、事前にご連絡ください。