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公開講座

第23回公開講座「国際文化基礎講座」

平成28年度開催は、終了しました。

 

「ヒトが築き上げた高度な文明は「進化」の結果ではない。言語による創出の結果である」。自分の最新作でそう述べているのはアメリカの著名な作家・ジャーナリスト、トム・ウルフである。身近にあって当たり前のように使っていても、本当はよく分からない、ことば。ことばはどのように創り出せるのか?言語と言語の違いは?そして、ことばを分析し外国語を学ぶための強力ツール、コーパスとは何か?本講座では以上のような三つの問いを投げかけ、ことばの本質に迫る。

講義日程と各回テーマ

平成28年11月5日(土)14:00~16:20
テーマ:ことばを科学する
講 師:高橋 大厚

平成28年11月12日(土)14:00~16:20
テーマ:コーパスを使った英語研究と英語教育
講 師:岡田 毅

平成28年11月19日(土)13:00~15:20
テーマ:世界の言語の中の日本語
講 師:副島 健作

平成28年11月19日(土)15:35~16:35
ラウンド・テーブル
各回の講師を交えた歓談の時間を設けました。
お茶やコーヒーを飲みながら3回の講義を振り返りましょう。

*11月5日(土)は13時40分から「開講式」を行います。


国際文化基礎講座とは
平成28年度講義の要旨
平成28年度講師の紹介
これまでに開催された講座
実施要領と申込方法
キャンパス案内図・交通機関

主催 東北大学大学院国際文化研究科
後援 仙台市教育委員会

国際文化基礎講座とは

目まぐるしく変動する国際情勢、いまだに混迷を続ける日本経済、21世紀に突入していよいよ抜本的な対応を迫られる環境・資源問題、多様な宗教や文化に起因する国家間・民族間の軋轢など、私たちは、身の回りの様々な問題に直面しています。これらに対処するためには深い洞察力が求められることは、いうまでもありません。

平成5(1993)年に大学院国際文化研究科は、諸外国の言語や文化、国際的な文化の交流の意義やそれに内在する諸問題を深く理解し、高度の専門的な知識を有する研究者や実務者を養成することを目的として設置されました。さらに、平成27(2015)年にはますます加速化するグローバル化に学術的に対応すべく、本研究科は国際文化研究専攻という1専攻のもとに、地域文化研究系、グローバル共生社会研究系、言語総合研究系という3つの教育プログラムの単位を組み込んだ教育研究体制へと改編することになりました。このそれぞれにおいては自文化をも相対化できる深い異文化理解、グローバルな諸問題の解決能力とリーダーシップの養成、高度なコミュニケーション能力の涵養を目指し、その基礎の上により高度な専門的知見と能力を培うことを目標としています。

新たな門出を迎えた本研究科ですが、教員一同初心を忘れず、学問のあらたな地平を拓いていく所存です。市民の皆さま・地域の皆さまと問題意識を共有しながら、歴史を紐解きつつ、現代を、そして将来を見据えていきたいと思います。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

講義の要旨

11/5(土)14:00~16:20 (休憩10分)

※13:40から「開講式」を行います。

ことばを科学する

高橋 大厚(専門:言語学、統語論)

講義の様子はこちら


私は生成言語学と呼ばれる枠組みで言語を研究しています。生成言語学は、とても簡略して言えば、人間には持って生まれた言語の基盤のようなものがあり、その基盤をベースにして、各々の母語を獲得するという考えに立ち、その生得的な基盤とはどのようなものかを研究する立場です。本講座では、そのような基盤を仮定する根拠や、そのような言語観のもとでは様々な言語の文法現象をどのように捉えることができるのかを具体的な用例を使いながら、お話しします。
用例には、受講者の皆様に馴染みがある(と思われる)日本語や英語の例文に加え、それ以外の言語からの資料も含めます。ある文法事象について、複数の言語がどのような特徴を持っているのかを考察し、それらを比較するという作業を受講者の皆様と一緒に行いたいと思います。
言語を構成する語や文を分析するというのはどういうことか、そしてそれらを発したり、聞いて理解したりすることを可能にする私たちの能力はどのように研究されているのか、その一端をお話しします。


 11/12(土) 14:00~16:20 (休憩10分)

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コーパスを使った英語研究と英語教育

岡田 毅(専門:コーパス言語学、英語e-ラーニング教育研究、英語書記体系研究)

講義の様子はこちら


最初に「コーパス」とは何かについて、少し言語の研究の歴史に沿って分かり易く眺めます。自分が話せるから人間は自分の言語をよく知っていると思いがちですが、本当にそうでしょうか。それに、そもそも私たちは本当に自分たちのことをよく知っているのでしょうか。知らないから、知ろうとして、いろいろな学問があるのかもしれません。そして多分人間は自分たちがとても不完全な存在だと大昔から気づいていたようです。言葉の学問も、そんな人間という生き物の健気な挑戦のひとつで、別の言い方をすれば「自分探しのロマンの旅」なのでしょう。

次に、コーパスを使って何ができて何ができないのかを実体験していただきます。この体験を通して、やっぱり自分は自分が毎日使っている言語を実はよく知らないのだ、と納得してもらえるでしょう。

英語コーパスを手段として用いて、英語そのものを研究する分野があります。また幅ひろい応用範囲のひとつとして、英語教育への応用研究があります。この講義のおしまいには、不完全な自然言語のひとつである英語の研究のために用いられるコーパスを、英語の教育や学習というとても「(不完全で)人間的な分野」で活用するということにはどんな魅力があり、どんな課題があるのかを具体例も用いながら一緒に考えます。英語の知識は特別必要ではありません。


 11/19(土) 13:00~15:20 (休憩10分)

副島・イメージ

世界の言語の中の日本語

副島 健作(専門:現代日本語文法、言語学、日本語教育)

講義の様子はこちら


近年グローバル化の波があわただしく押し寄せ,多くの外国人が日本を訪れるようになりました。地域においても日本語授業ボランティアなどが盛んに行われ,日本語教育はますます身近なものとなりつつあります。国際貢献のためと外国人に日本語を教えてみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし,ことばが「使える」からと言って,「教えることができる」とは限りません。母語が話せるのは無意識的,無自覚的な能力だからです。教えるためには母語話者が自分のことばを意識的・客観的な形で理解し直さなければなりません。たとえ教えるという目的がなくとも,日本語を客観視することは,ことばへの視野を広げ,豊かな言語生活を送るうえで必要なことではないでしょうか。

 そこで本講義では,日本語を世界の諸言語の1つ,すなわち,「外国語としての日本語」として捉え直す機会を提供します。まずは,国語教育との違いを意識しつつ外国人に対する日本語教育文法について考えます。また,世界の諸言語と比較しながら日本語の特徴について考え,言語一般に対する認識を深めます。さらに,普段無意識に使っているさまざまな日本語の現象を見つめ直し,分析しながら,どのように説明できるかを一緒に検討します。


ラウンド・テーブル 11/19(土) 15:35~16:35

各回の講師を交えた歓談の時間を設けております。お茶やコーヒーを飲みながら3回の講義を振り返りましょう。

講師の紹介

高橋

高橋 大厚(東北大学大学院国際文化研究科・教授・<言語科学研究講座>)
◆専門は、
言語学、統語論
◆主要著書・論文は、
Argument Ellipsis, Anti-agreement, and Scrambling. In M. Saito (ed.) Japanese Syntax in Comparative Perspective. Oxford University Press. 2014.
Noun Phrase Ellipsis. In S. Miyagawa and M. Saito (eds.) The Oxford Handbook of Japanese Linguistics. Oxford University Press. 2008.
Quantificational Null Objects and Argument Ellipsis. Linguistic Inquiry 39. 2008.
Movement of Wh-Phrases in Japanese. Natural Language and Linguistic Theory 11. 1993.
◆本研究科での担当授業科目:
生成統語論、言語科学研究総合演習・特別演習、言語科学研究特別研究、言語科学研究特別講義、言語科学概論

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岡田 毅(東北大学大学院国際文化研究科・教授・<応用言語研究講座>)
◆専門は、
コーパス言語学、英語e-ラーニング教育研究、英語書記体系研究
◆主要著書・論文は、
The Routledge Handbook of English Writing System (共著). Routledge. 2016.
Second Language Writing System (共著). Multilingual Matters, 2005.
English Corpus Studies in Japan (共著). Rodopi, 2002.
『英語コーパス研究シリーズ第1巻 コーパスと英語研究(共著)』ひつじ書房、印刷中.
『英語の書記体系(共訳』鶴見書店、2008.
『実践「コンピュータ英語学」–テキストデータベースの構築と分析—(単著)』鶴見書店、1995.
◆本研究科での担当授業科目:
コーパス言語学、応用言語研究総合演習・特別演習、応用言語研究特別研究、応用言語研究特別講義、言語科学概論

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副島 健作 (東北大学大学院国際文化研究科・准教授・<言語科学研究講座 >)
◆専門は、
現代日本語文法,言語学,日本語教育
◆主要著書・論文は、
On expressions of agent de-topicalized intentional events: A contrastive study between Japanese and Russian. Journal of Japanese Linguistics 30, 2014.
「『原因』を表す接置詞の文法化: 日本語とロシア語を対象に」 Studies in Language Sciences : Journal of the Japanese Society for Language Sciences 12, 2013.
「他地域出身者の『気がつきにくい方言』使用にかんする一考察―沖縄地域の『〜わけ』の使用意識調査から―」 Southern Review: Studies in Foreign Language & Literature 27, 2012.
『日本語のアスペクト体系の研究』ひつじ書房、2007.
◆本研究科での担当授業科目:
日本語解析論、言語科学研究総合演習・特別演習、言語科学研究特別研究、言語科学研究特別講義

実施要領と申込方法

~会場~

仙台市青葉区川内41番地(東北大学川内北キャンパス)
マルチメディア教育研究棟6階大ホール
地図

~対象~

どなたでも参加いただけます。

~募集人数~

100名(先着順にて締め切ります。)

~講習料~

一    般:3,000円
リピーター:2,000円(過去に本研究科公開講座の受講経験がある方)
学    生:1,500円
全て出席した方には、『修了証書』を交付いたします。

~募集期間~

平成28年8月3日(水)~10月7日(金)

~申込方法~

ハガキ、FAXもしくは電子メールで、
①氏名(フリガナ)、
②年齢、
③性別、
④職業(学生は学生証のコピー添付)、
⑤現住所、
⑥電話番号、
⑦過去の受講経験の有無、

を、国際文化研究科教務係までお知らせ願います。

後日、講習料の納付方法等についてご連絡いたします。
申し込みの際に必要な受講生の情報を、連絡先の把握及び今後の公開講座運営上
の統計資料作成以外に、使用することはありません。
※今年度より駐車場の利用ができませんので、公共の交通機関をご利用ください。
なお、ハンディキャップのある方は、事前にご連絡ください。

申込・問合先

東北大学大学院国際文化研究科教務係
〒980-8576 仙台市青葉区川内41番地
TEL 022(795)7556、FAX 022(795)7583
E-mail int-kkdk@grp.tohoku.ac.jp
* 5月18日からメールアドレスが変更になりました。

キャンパス案内図・交通機関

会場はマルチメディア教育研究棟6階大ホールです。

※不鮮明な場合はクリックすると画面が大きくなります

●駐車場の利用ができませんので、公共の交通機関をご利用ください。
なお、ハンディキャップのある方は、事前にご連絡ください。

イベント