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最近の研究成果

言語科学研究

香港とタイを中心にした、東アジア地域の高等教育機関における英語学習サポートシステムの調査

発表のポイント

  • 香港、タイの大学における授業外の英語学習サポートシステムを現地調査
  • ITだけでなく、対面式の英語学習サポートの現状と課題を報告
  • 日本の大学生への有効な英語サポートシステムの構築

概要

数年前、香港理工大学で英語教育を担当する友人(教授)から学生の英語運用能力が目立って落ちていること、そのため大学として授業外に学生が自由に利用できる英語学習センターやウエブサイトを提供していると聞きました。香港と言えば、かつての英領だったことや、世界有数の国際金融都市であることから英語はふつうに使われている印象がありますが、実体はそうでもないらしいのです。そこで、香港をはじめととする東アジアの準英語圏・非英語圏の国と地域の大学における、授業外の英語教育サポートの現状と課題を調査し、香港より関係者を招いてシンポジウムを実施し、論文・講演等で調査結果の発表を行いました。

具体的には、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、ミャンマーの主要な大学―香港はほぼすべての大学―を訪問し、英語教育担当者にインタビューを行い、施設の見学をしました。

香港城市大学のSelf-Access Centreにて

チュラロンコン大学(タイ)のSelf-Access Learning Centerにて

その結果、とくに香港とタイの大学において、SALC (Self-Access Learning Center)やLC(Language Centre)と呼ばれる英語自主学習センターが充実しており、個々の学生のニーズに応える授業外のきめの細かい英語(外国語)学習支援が行われていることがわかりました(詳細は下記の報告をご覧ください)。

日常の生活で英語を使用する必然性がなく、英語学習のインセンティブに欠ける状況で、英語の授業時間数も極端に限られている日本の大学における英語教育では、学生の英語力増進の期待に応えることは難しいです。このような状況下で、英語授業カリキュラムの改善、教材・教授法の開発、教員の教育力強化も重要ですが、学生の英語自学学習への支援を充実させていかなくてはならないでしょう。英語学習に対する学生のモティベーションを高め、授業外の英語学習時間を確保し、その時間を有効活用して学生個々人による英語学習を習慣化させていくためには何が必要か、何をすべきかという点について、本調査で得られた情報と知見は有益だと考えています。

香港科技大学のLanguage Commonsにて

本調査の一部は東北大学高度教養教育・学生支援機構の高度教養教育開発推進事業、及びJSPS科研費(英語圏、準英語圏における英語アカデミックライティング教育の実際調査とその応用 [JP16K132524])の助成を受けました。2020年度はコロナ禍の影響で調査・研究が一時中断していますが、今後も継続していく予定です。

出版・公表など

〔論文〕

  • 東北大学高度教養教育・学生支援機構紀要, 4巻, 2018年3月, 東アジアの準英語圏・非英語圏における英語学習サポートシステムの実態調査―その経過と香港地域の大学の調査結果報告を中心に―, 江藤裕之・北原良夫・長野明子, file:///C:/Users/hiroe/Downloads/2189-5945-2018-4-415%20(1).pdf
  • 英語教育, 67巻2号, 2018年5月, 東アジアの大学における特色ある英語教育サポートシステム, 江藤裕之
  • 21世紀アジア学研究, 17号, 2019年3月, シンガポール、マレーシア、香港における英語環境と英語教育支援―日本人の英語を考えるヒントとして―, 江藤裕之, https://kokushikan.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=14763&item_no=1&page_id=13&block_id=21

問い合わせ先

E-mail: hiroyuki.eto.d6 [@] tohoku.ac.jp
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