研究スタッフ紹介
江藤 裕之
精神史・思想史の中の言語の学
言語総合研究系
言語科学研究講座
教授
Ph.D., 博士(文学)
― 研究の内容を教えてください。
人々がことばをどのように意識し、考え、探究してきたのかを調べています。西洋だけでなく日本の言語研究の歴史も視野に入れ、言語学という窓から、学問の歴史、思想史・精神史を眺めたいと思っています。もう1つは、言語研究史から得た知見をベースにして、日本人に合った言語教育(英語教育)を考え、その応用としてEnglish Academic Writingの研究もしています。思想を正確に表現するための英語の文法・語法に興味があります。
― その研究を始めたきっかけは何ですか。
哲学の探究に哲学史が不可欠であるように、言語学を学ぶ上で言語学史の知識は必要だと思います。私の場合は、英語の歴史を学んでいく過程で19世紀ドイツの史的比較言語学に興味をもち、そこから「最新のもの、必ずしも最善ならず」との意を新たにして、言語研究史に取り組みました。先人・先哲の知恵に学び、そこから私たちにとってことばを学んでいくうえで何が大切かを考えたいと考えたのがきっかけです。
― はじめに研究者を目指そうと思ったきっかけはどのようなことですか。
Erkennen des Erkannten(認識されたものの認識)という素敵なことばに出会いました。その時、ことばそのものの研究者になるよりも、ことばがどのように研究され認識されてきたかを研究し、(再)認識することでそこから何か今日の教育なり研究なりに役立てることがないものかというのが自分の興味だったようです。学問には流行がありますが、その中にも不易なるものがあります。それを見つめていきたと思っています。
― 研究室(講座)のアピールポイントを教えてください。
言語学は人間のことばを対象とする学問ですが、ことばそのもの、ことばを生むメカニズム、ことばにより生み出されたものなどなど、それが扱う範囲は広く茫洋としています。1つ言えることは、ことばの研究は人間の研究、そして文化や社会や歴史に研究にもつながります。人間を特徴づけ、人間を人間たらしめているものは唯一ことばだからです。目的であれ手段であれ、ことばの研究は人間を理解する格好の「窓」となるでしょう。
研究のキーワード
精神史・思想史の中の言語学史、英語によるアカデミックライティング、史的英語研究(意味、文法)
主な著書・論文など
著書
・『グローバル・エリート教育』(2016) PHP
・『英文法のエッセンス』(2015) 大修館
・『質的研究をめぐる10のキークエスチョン :サンデロウスキー論文に学ぶ』(2013) 医学書院 [谷津裕子(日本赤十字看護大学教授)との共訳]
・『APAに学ぶ 看護系論文執筆のルール』(2012) 医学書院 [前田樹海(東京有明医療大学教授)との共著]
・『APA論文作成マニュアル』第2版 (2011) 医学書院 [前田樹海(東京有明医療大学教授)他との共訳]
・Multiple Perspectives on English Philology and History of Linguistics. A Festschrift for Shoichi Watanabe on His 80th Birthday. (2010) Peter Lang. [co-edited with Tetsuji Oda (Professor of English Philology at Tokyo University of Science])
・『芸術都市の誕生』(2010) PHP研究所 [共著]
・『看護倫理を教える・学ぶ』 (2008) 日本看護協会出版会 [小西恵美子監訳:共訳]
・『国境を越えた源氏物語――紫式部とシェイクスピアの響きあい』(2007) PHP研究所 [共著]
・『看護・ことば・コンセプト』(2005) 文光堂
・『古事記が語る原風景』(2004) PHP研究所 [共著]
・Philologie vs. Sprachwissenschaft: Historiographie einer Begriffsbestimmung im Rahmen der Wissenschaftsgeschichte des 19. Jahrhunderts. (2003) Nodus Publikationen.
・『聖書の言葉・詩歌の言葉――なぜ人々の心に響くのか?』(2001) PHP研究所 [共著]
・『国際英検 G-TELP 受験のための公式ガイドブック』(1999) 金星堂 [森田勝之監修・編:解答・解説作成]
その他論文などは、下記のURLをご参照ください。
http://researchmap.jp/read0140751/
http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/8623f843f4f7ca4ed51d64165a26d813.html
東北大学研究者紹介
http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/8623f843f4f7ca4ed51d64165a26d813.html