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概要

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東北大学大学院国際文化研究科のウエブサイトにようこそ。

このウエブサイトをご覧の皆さまの中には、「国際文化」という名称に、もっといえば「国際」と「文化」という語の組み合わせに、どことなく違和感をもたれている方がいるかもしれません。文化とはそもそも土着的・地域的なものなのに、国際的な文化というものがあるのだろうか。そう、お感じの方もいらっしゃるでしょう。

文化の「文」という文字の本来の意味は、「人間が手を加えたもの」、つまり「人間の営み」です。人間の営みが生み出す文化とそれを取り巻く環境――ここに私たちの大きな関心があります。それを、国際的、そして学際的な視点から探究していくことが、本研究科の目指すところであると、私は考えています。

そこで、本研究科では、地域文化研究系、グローバル共生社会研究系、言語総合研究系という3つの大きな研究系を柱にして、地域文化の理解、異文化が出会う環境の中で生じるグローバル規模の問題の解決、そして、精神文化の中心に来る言語の本質の探究から効果的な言語教育への応用をめざす研究を推進しています。そして、その国際的・学際的な研究をベースにして、将来、国内外でグローバルな活躍ができるリーダーを育成しています。事実、国際文化研究科修了生の多くは、国内外の大学や研究機関、公的機関や地方公共団体、教育機関、企業などで活躍しています。

本研究科が国際的であるのは、教育研究上の理念のみならず、研究科構成員の出身や経歴にもあてはまります。前期2年の課程(修士課程)、後期3年の課程(博士課程)ともに、東北大学全体の大学院の平均値を大きく上回る率の留学生が在籍しており、教員にも外国人スタッフや海外での研究経験の豊富な日本人スタッフを擁しています。また、英語のみで授業、指導、発表、論文執筆を行う2つの国際プログラムがあります。こういった環境の中で、本研究科の学生は、教員による授業や研究指導からだけではなく、バラエティーに富んだ文化背景をもつ学友との触れあいの中からも、国際的な感覚やものの見方を体得していることと思います。

さらに、学際的という点は、本研究科の教員の多岐にわたる学問的関心、研究手法、研究成果から理解できます。各研究系を構成する講座、また各講座の教員の詳しい研究内容・業績は本ウエブサイト、また東北大学の研究者紹介などをご参照いただければと思いますが、全体的な特徴を言えば文理融合です。学問研究の宿命として、専門分野の細分化は避けられません。しかし、人間、文化、自然を理解し、よりよい環境と社会を創造するために、より広く、またより高い視点から全体を俯瞰していけるような人材を育てることを目指しています。

英国の聖職者・神学者であったニューマン(John Henry Newman, 1801-1890)は、その連続講演である『大学の理念』(Idea of a University)の中で、学生の精神を拡張し、広い視野からものごとを判断する批判的能力を陶冶していくことが大学の目的であるといった趣旨のことを述べています。それは広い意味でのLiberal educationであり、これこそが、諸学の基礎であると同時に、大学教育の最終目的ではないかと考えています。私は、国際文化研究科での教育・研究において、この姿勢を大切にしていきたと思います。

東北大学大学院国際文化研究科長
江藤 裕之