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最近の研究成果

ヨーロッパ・アメリカ研究

先住民マヤ文学を世界に先駆けて翻訳紹介

発表のポイント

  • メキシコ先住民(マヤ)文学の日本語への翻訳出版
  • ラテンアメリカ文学における新領域の開拓
  • 第56回日本文化翻訳賞(翻訳特別賞)受賞

概要

これまで約30年にわたって行ってきた、メキシコの先住民マヤの文化に関する文化人類学的な調査、およびユカタン・マヤ語に関する言語学的な研究を活かして、先住民マヤの現代文学について研究しています。

メキシコでは1980年代から、先住民族の社会文化的復権と先住民言語の復興を目的として、先住民言語で文学作品が書かれるようになりました。これまで先住民の社会と文化は植民地支配および研究の対象として、西洋(日本を含む)という他者によって研究され、また文学においても多数描かれてきました。しかし、それは先住民に対する西洋のオリエンタリズム的欲望の投影でしかありませんでした。これまで沈黙を強いられてきた先住民たちが今やっと自分たちの言葉で語り始めています。彼らの言葉をどのように受け取るかは、西洋にとってのこれからの大きな課題ですが、とりあえずは、その言葉を西洋の人々に理解可能な形で届けねばなりません。そこで私は、単に先住民文学について研究するだけでなく、彼らの文学作品を日本語に翻訳し、出版しようと考えました。2020年は運よく、国書刊行会より「新しいマヤの文学」シリーズとして三冊の小説を出版することができました。

出版・公表など

〔論文〕
「メキシコにおける先住民文学ルネッサンス」吉田栄人『国際文化研究科論集』25号、29~40頁、2017年
「現代マヤ文学の誕生―原風景としての伝統的なマヤ村の発見」吉田栄人『国際文化研究科論集』26号、15~27頁、2018年
「ユカタン・マヤ先住⺠文学における語りの文学的技法について」吉田栄人『国際文化研究科論集』28号、印刷中

〔翻訳〕
ソル・ケー・モオ『穢れなき太陽』吉田栄人訳、水声社、2018年
ソル・ケー・モオ『女であるだけで』吉田栄人訳、国書刊行会、2020年
ホルヘ・ミゲル・ココム・ペッチ『言葉の守り人』吉田栄人訳、国書刊行会、2020年
イサアク・エサウ・カリージョ・カン/アナ・パトリシア・マルティネス・フチン『夜の舞/解毒草』吉田栄人訳、国書刊行会、2020年

〔受賞〕
2019年度第56回日本文化翻訳賞・翻訳特別賞(対象作品:『穢れなき太陽』)、NPO法人日本翻訳家協会、http://www.japan-s-translators.com/taishou.htm

問い合わせ先

電話 022-795-7631
E-mail: syoshida(at)tohoku.ac.jp
※ (at)を@に変換して下さい