研究者紹介 寺本 成彦

文学研究と映画研究を橋渡しする

 

地域文化研究系

ヨーロッパ・アメリカ研究講座

寺本 成彦  教授 【 文学修士(文学)、博士(文学) 】

― 研究の内容を教えてください。

フランス文学の領域では、19世紀の詩人ロートレアモンについての研究を進めてきました。すでに書かれた作品を受容しながら、それをいかに創造的に改変して自分独自の作品としているのかという、文学創作の根幹にかかわるであろう問題に着目してきました。現在はヨーロッパの文学作品の映画化の分析を通じて、言語表現と映像表現のそれぞれに固有の特性が何か、さらに両者の創造的な影響関係とは何かについて論考しています。今までフロベール、モーパッサン、フランク・ノリスといった小説家の作品とその映画化について講義で取り上げてきましたが、将来的には詩作品の映像化についての考察を進めたいと思っています。

― その研究を始めたきっかけは何ですか。

日本の詩人・演劇作家、寺山修司の中編映画『マルドロールの歌』(1977)を、原作であるロートレアモンの散文詩と比較して論じた研究が出発点の一つです。それ以来、文学的な言語を通して作りだされる想像世界と、映像によって端的に示されるイメージとの連続性・重なり合いという面だけでなく、その2つのずれと隔たりに由来する芸術世界の生成のあり方が、いかに私たちの作品受容を豊かで味わい深いものにしているのかに強く関心を惹かれたからです。

― はじめに研究者を目指そうと思ったきっかけはどのようなことですか。

すぐれた文学作品や映画作品は、そこで展開されている言葉それ自体、映像それ自体によって、私たちに汲めども尽きせぬ豊かな感覚や思考を喚起し続けます。私たち読者・観客にとって、それらは単に娯楽として鑑賞され、やがて記憶から薄れるだけではなく、世界についての私たちの見方、感じ方、考え方を変容させずにはいません。そういった“経験”に何度でも向き合うことを通じて、<言葉/映像を通して人間はいかなるものか>という問いに対する解答を自分なりに見つけ出したいという欲求を持ったことが、今につながっていると考えています。

研究のキーワード

文学と映画、文学理論、映画理論、創造的改変。

主な著書・論文など

Travail de la réécriture dans "Les Chants de Maldoror" de Lautréamont, Presses Universitaires du Septentrion, coll. « Thèse à la carte », Villeneuve d’Ascq, 2002. (「ロートレアモン『マルドロールの歌』における書換えの作業」)

Les Chants de Maldoror filmés par Terayama Shûji ― « Réécriture » par les images filmiques, Po&sie, no. 100, 2002.

(寺山修司の『マルドロールの歌』―スクリーン上のテクストとその変貌―)

『マルドロールの歌』に流れる二重の時間―物語内の出来事の持続、語りかける声の持続― ,『ガリア』第50号,2011.

東北大学研究者紹介

http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/28ecb782bcaa2ff6a911cad30d600c2a.html

前の画面に戻る >>

Page Top