研究者紹介 野村 啓介

Festina lente !

 

地域文化研究系

ヨーロッパ・アメリカ研究講座

野村 啓介  准教授 【 博士(文学) 】

― 研究の内容を教えてください。

近代フランスの,とくに第二帝政(ボナパルト体制)期の中央・地方関係について多角的に研究し,第二帝政という体制の歴史的特質を明らかにすることをめざしています。このために,帝政権力と地域権力の関係にアプローチすべく,仏南西部の貿易都市ボルドーという地域的枠組において,帝政の万国博覧会政策の展開と,ボルドーワインのいわゆる1855年格付(ワインの商業的ヒエラルキー)をめぐる諸問題にとりくんでいるところです。ここには,(1)当地のワイン業利害やワイン文化の問題系がリンクし(さらにブルゴーニュ地方との地域比較史的研究へと拡大し),(2)ナポレオン3世の外交政策との関係から,幕末開国期の日仏交渉やフランス外交への関心も含まれます。

― その研究を始めたきっかけは何ですか。

もともと歴史に何となく興味をもってはいましたが,現在に直接つながるのは高校時代の世界史授業でフランス革命・ナポレオンについて学んだことでした。けっして世界史の成績が抜群によかったわけではありませんが,そのころから歴史を探究してみたいという漠然とした願望をもちはじめました。大学に入学してフランス語(とラテン語)を履修したのは,受講者が極端に少なく希少性を感じたからというにすぎませんでした(女子学生が多かったという若者にありがちな不純な動機もありましたが)。結果的にフランス語を使って歴史を研究するという方向におちついたのですから,人生どう転ぶかわからないものだ,とこれを書きながらしみじみ感じています。

― はじめに研究者を目指そうと思ったきっかけはどのようなことですか。

最初は高校の世界史教師にでもなろうと教育実習まで行きましたが,学部時代に卒論準備のために手にとったJacques Rougerie, Procès des Communards(『コミュナール裁判』)というパリ・コミュン史の本を読みすすめるうちに,歴史研究のおもしろさを感じるようになりました。それは,現地での一次史料発掘・分析を堅実にすすめ,そうした地道な作業をつみかさねていって,少しずつ歴史の真相へと接近しようとする姿勢でした。一見すると非常に地味な作業の連続にみえますが,自分にはこれがあっていると思い(まさにFestina lente―ゆっくり急げ―の精神です),大学院に進学するための勉強も本格化しました。くわえて,自分が恵まれていたのは,研究者として尊敬できる恩師のもとで勉強できたことです。今の自分があるのも,この恩師が厳しく指導していただいた賜です(ゼミは緊張の連続でした)。極貧の学生時代をなんとかくぐりぬけ,ふと気がつけば,こうして研究者として大学に奉職する自分がいました。

研究のキーワード

近代フランス政治史・社会史,比較地域史,ワイン文化史

主な著書・論文など

著書

『フランス第二帝制の構造』九州大学出版会,2002年。

論文

「フランス第二帝制下の農業諮問会議所と地域権力―ジロンド県の事例―」『ヨーロッパ研究』(東北大学大学院国際文化研究科ヨーロッパ文化論講座)第9号,2014年,pp.109-138。

「1855年のパリ万国博覧会準備におけるジロンド県産ワイン出品―その決定プロセスにみる県万博委員会委員長A.Gautierの役割―」『国際文化研究科論集』(東北大学大学院国際文化研究科)第20号,2013年,pp.59-72。

「1855年のパリ万国博覧会準備にみるジロンド県万博委員会とワイン出品問題―フランス第二帝制下における万博政策と地域権力―」『国際文化研究科論集』(東北大学大学院国際文化研究科)第19号,2012年,pp.91-102。

「ナポレオン3世下フランスの極東進出と幕末日本―ボルドーワイン史研究の新たな展開にむけての覚書―」『ヨーロッパ研究』(東北大学大学院国際文化研究科ヨーロッパ文化論講座)第6号,2007年,pp.121-165。

「ボルドー商業会議所の制度と人に関する基礎的分析(1802~1908年)―近代フランスにおける地域権力の持続と変容をめぐって―」『西洋史研究』(西洋史研究会)新輯第34号,2005年,pp.44-76。

「フランス第二帝制史研究の最前線」『西洋史学論集』(九州西洋史学会)第40号,2002年,pp.87-98。

東北大学研究者紹介

http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/f578042900fd84c7b10ad4089481f897.html

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