研究者紹介 藤田 恭子

マイノリティ文化論の視点から、ナショナリズムの過去と現在を検証しています

 

グローバル共生社会研究系

多文化共生論講座

藤田 恭子  教授 【 文学修士、博士(国際文化) 】

― 研究の内容を教えてください。

「国民国家」や「国民文化」等の理念が生み出した諸問題を、ドイツ語圏や東欧地域の諸事例を中心に、マイノリティ文化論の視点から検証しています。主な研究対象は、ルーマニア領のユダヤ系およびドイツ系マイノリティの歴史や文化・文学等ですが、授業ではドイツのトルコ系文化等も取上げています。文化営為と「国家」との関係を解明するとともに、多文化であるがゆえに生み出された新たな芸術表現等にも注目し、多文化共生社会の様々な可能性を論じます。

― その研究を始めたきっかけは何ですか。

学部や大学院では、19世紀末から20世紀初頭のオーストリア文学研究に熱中していました。首都ウィーンのモダンな芸術や文学に魅了されたからです。当時のオーストリアつまりハプスブルク帝国は多民族国家で、ウィーンの文化的成熟もこの背景を踏まえていました。そこから帝国の「周縁地域」に目を向け、その重要性に気が付きました。20世紀ドイツ語文学を代表する詩人パウル・ツェランやノーベル賞作家ヘルタ・ミュラー等も、この「周縁地域」にルーツをもつマイノリティ文学の出身です。

― はじめに研究者を目指そうと思ったきっかけはどのようなことですか。

幼い頃から読書好きで、出版社の編集者を目指して文学部に進学しました。学部の卒業論文でウィーンの詩人フーゴ・フォン・ホフマンスタールの劇作品分析に取り組みましたが、調べ足りないと思う気持が募り、修士課程への進学を決めました。修士課程修了直後にドイツのボッフム大学へ留学したことで、研究者となる決意が固まりました。ボッフム大学ではロマン主義文学研究の泰斗イングリット・シュトローシュナイダー=コールス教授に多くの励ましをいただき、大きな財産になりました。

研究のキーワード

マイノリティ、ナショナリズム、ドイツ語文学、ルーマニア、ブコヴィナ、トルコ

主な著書・論文など

『「周縁」のドイツ語文学 ―ルーマニア領ブコヴィナのユダヤ系ドイツ語詩人たち―』東北大学出版会、2014、全476頁
「周縁」のドイツ語文学

〈共著〉
奈倉洋子編『ドイツ語圏文化の現在 ―ベルリンの壁崩壊・東欧革命後20年の変化を読む―(日本独文学会研究叢書080号)』日本独文学会、2011、全76頁(「コミュニティの破綻とマイノリティ文化の再編 ―東欧革命後のルーマニア・ドイツ語文学―」、4-18頁担当)

大津留厚編『中央ヨーロッパの可能性 ―揺れ動くその歴史と社会―』昭和堂、2006、全347頁(第4章「ブコヴィナのユダヤ系ドイツ語文学 ―『第二のディアスポラ』を支えるハプスブルクの遺産」、135-172頁担当)
中央ヨーロッパの可能性

原研二編『ディアスポラの文学(日本独文学会研究叢書 027号)』日本独文学会、2004、全74頁(「故郷喪失者の文学 ―ローゼ・アウスレンダーの詩的世界―」、39-51頁)

【論文】
「多民族国家の解体と『ドイツ人』意識の変容 ―両次大戦間期ルーマニアにおけるユダヤ系およびドイツ系ドイツ語話者を事例に―、日本ドイツ学会『ドイツ研究』第48号、2014、43-55頁

「集団的記憶装置としてのアンソロジー -ブコヴィナのドイツ語文学アンソロジー史をめぐって―、『上智大学 ドイツ文学論集(ドイツ文学科百周年記念特別号)』第50号、2013、85-92号

「ヘルタ・ミュラーとルーマニア・ドイツ語文学 ―ノーベル文学賞受賞によせて―」、郁文堂『Brunnen』第461号、2010、13-15頁

「ローゼ・アウスレンダーにおけるブコヴィナ像 -多文化共生神話の生成と受容をめぐって-」、東北ドイツ文学会『東北ドイツ文学研究』第50号、2007、163-184頁。

「ルーマニア領ブコヴィナにおけるユダヤ系ドイツ語詩人たち ―抒情詩の優位と伝統への回帰―」、日本独文学会『ドイツ文学』第117号、2005、61-71頁

「ルーマニア統治下におけるブコヴィナ文学の変容」、オーストリア文学研究会(現・日本オーストリア文学会)『オーストリア文学』第19号、2003、24-31頁

東北大学研究者紹介

http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/d8be17f3d011549cbdf63512ab638334.html

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