研究者紹介 吉田 栄人

Dios bo'otik("神のご加護がありますように") = ありがとう

 

地域文化研究系

ヨーロッパ・アメリカ研究講座

吉田 栄人  准教授

― 研究の内容を教えてください。

マヤ語のテキスト(植民地時代の古文書から現代の文学作品まで含むすべてのマヤ語文書)の分析と、マヤ語を教えるために必要な教材(文法書、辞書を含む学習用教材)作成に取り組んでいます。別の言い方をすれば、それはマヤ語を通してマヤの人たちの行動や思考について歴史的かつ同時代的に理解し、また彼らの目を通して人類社会の在り方(歴史や政治経済を含む)について考え、さらにはマヤ語を操る一人の個人として自分をそのマヤという分析の枠組みにいかに位置づけるかについて考えることでもあります。 上に掲げたキャッチフレーズのDios bo'otikは「ありがとう」を意味するユカタン・マヤ語で、直訳すると「神がそれを支払ってくれます」とでもなります。その場合の神とはキリスト教における主のことですが、マヤ語であるにも関わらず、それはスペイン語(文化)が強固に組み込まれたマヤ語なのです。言語学的観点から見ても、この文章は、他のマヤ系言語であれば逆受動態と呼ばれる動詞の態が使われる主語前置構文であり、マヤ語さらには言語一般の統語規則を考える上でも、非常に興味深い事例です。すなわち、Dios bo'otikを「ありがとう」という意味の単なる対応形として理解するのではなく、何故そうなるのかを考え、またそれを説明することが私の研究目的ということになります。

― その研究を始めたきっかけは何ですか。

学部生時代、多数のラテンアメリカ文学作品の翻訳がある木村榮一先生のゼミでメキシコ人小説家カルロス・フエンテスの『大気澄み渡る土地』を題材に卒論に取り組みました。日常の個々人の生の中にこそ普遍が隠れていること、個別を記述することでしか普遍は語れないことをそこで教わりました。決して最初からメキシコに興味があった訳ではありませんが、2回にわたる日墨交換留学(1981年と1985年)とメキシコ外務省給費留学(1995年)を通じて、私のメキシコ研究はいつしか運命的なものとなり、かつライフワークとなってしまいました。他の国や地域を研究する転機は幾度もありましたが、自分にはメキシコ、中でもユカタンのマヤ社会が一番性に合っているような気がしました。最初はメキシコ民族舞踊を踊ることがその「自己」確認の手段でしたが、今ではマヤ語のラジオ放送や音楽を聞き、マヤ語のテキストを読むことが日課となっています。FacebookとTwitterにはマヤ語でつぶやくようにしています。 研究を始めるきっかけなんて、その時には気が付かないものです。もっと遡れば、なんで私はメキシコに留学しようと思ったのか、なんでマヤ語の勉強を始めたのか、実は自分自身でさえ分かりません。でも、やってみたら面白かった。きっかけよりも、むしろ、何かの拍子でたまたま巡り合ったその何かを楽しむことで、それは運命的なもの(つまり、現在の自分を説明する根拠)に変わっていくのだと思います。

研究のキーワード

ラテンアメリカ地域研究、マヤ文化研究、マヤ語

主な著書・論文など

詳細はReaD & Researchmapにある私のページをご覧ください。
http://researchmap.jp/mayab

 

 

東北大学研究者紹介

http://db.tohoku.ac.jp/whois/detail/d28f0bbf70e58de856efa20347680829.html

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