「頭をよくする方法ってあるの?−脳科学からのメッセージ−」

川島隆太(脳科学者・東北大学教授)


【主な著書】
『自分の脳を自分で育てる』(くもん出版)、『読み・書き・計算が子どもの脳を育てる』(子どもの未来社)、『高次機能のブレインイメージング』(医学書院)、『朝刊 10 分の音読が「脳力」が育つ』( PHP 研究所)、『脳を鍛える大人の料理のドリル』(くもん出版)など。

【講演要旨】
  頭がよいってどういうことでしょう?「記憶力がよい」「頭の切り替えが早い」「新しいものを考え出せる」「発想が豊か」など、いろいろな定義が思い浮かびます。脳の働きから考えると、いわゆる頭がよいということは、脳のある一部の機能がよいことであることがわかります。それは、人間のみが特別に発達している脳、大脳の前頭葉にある前頭前野です。前頭前野の働きをよくすれば、頭をよくすることが可能であると考えられるのです。
  では、どのようにしたら前頭前野の働きを高めることができるのでしょうか?実は、最近よいヒントとなる研究発表がありました。小さいころから外国語に触れてきたバイリンガルの人たちは、母国語しか操ることができない人たちよりも、さまざまな認知的テストの成績が良いというものです。語学(外国語)学習が、前頭前野を鍛え、頭をよくするのではないかという仮説が生まれてきました。
  今回の講演では、何故、語学学習が頭をよくする効果を生み出すのか?前頭前野を鍛え、頭をよくするために私たちは何をするべきなのかを、脳科学の知見から考察してみたいと思います。