脳から見たことば −失語症のはなし−

鈴木 匡子 (東北大学大学院医学系研究科講師・東北大学病院)


 ことばを使ったコミュニケーションが高度に発達しているのが人間の特徴です。そして、ことばは脳の広い範囲の機能により支えられています。では脳のどのような部分がことばに関係しているのでしょうか。脳のしくみについて、まず簡単におはなしします。
  ことばにとって大事な部分がこわれると、ことばがうまく使えなくなります。脳卒中や頭部外傷ではそれが突然おこり、ある種の痴呆では徐々に進んできます。脳に傷がついて、口や舌はよく動くのにことばがうまく話せなかったり、耳は聞こえるのにことばがわからない状態を失語症といいます。失語症の症状とはどんなものかを、脳のしくみと関連させながら具体例をまじえておはなしします。
  失語症の方を前にすると、とまどうことも多いものです。失語症の方とコミュニケーションをとる上で、知っておきたいことがらを最後におはなしする予定です。