外国語教育とアウトプット仮説の関連性について 板垣 信哉
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【要旨】 本講演では,Swainのアウトプット仮説 (Output Hypothesis) と外国語教育の関連性について議論する。約20年前にMerrill Swain (トロント大学)がアウトプット仮説を提唱して以来、様々な理論的・実証的研究が行われてきた。その結果として、話す・書くというアウトプット活動は第二言語習得に効果的(具体的には「文法的正確さ」の習得)であると考えられ、近年ではアウトプット活動が「どのように」第二言語習得を促進するのかの具体的な認知プロセスの議論が盛んである。本講演では、まず、アウトプット仮説が提唱された背景を簡単に述べ、アウトプットの言語学習機能である「気づき(noticing)」、「仮説検証 (hypothesis testing)」、「メタ的語り (metatalk)」を概説し、いくつかの実証的研究を紹介する。最後に、日本の英語教育の観点から日本人英語学習者を被験者とした「メタ的語り」についての実証的研究を簡単に紹介する。 |