共有知識とポライトネス・ストラテジー
Mutual Knowledge and Politeness Strategies


秋月 高太郎 
尚絅学院大学

 

会話の目的は、自分と相手が共有している知識を最大化し、共有していない知識を最小化することであると言われる。しかし、私たちは、自分と相手がどのよ うな知識を(どの程度)共有しているのか、または共有していないのかを、どうやって知るのであろうか。語用論では、共有知識の想定は、推論の積み重ねによって達成されるのではなく、確信できる知識を増やすことによって達成されるという考え方が有力である。本講演では、後者の考え方に立つことで、今日の若い世代の人々によく用いられる、「〜じゃないですか」のような表現や「語尾上げ言葉」が、共有知識想定のためのストラテジーの一つとして説明できることを示す。