「文法の身体化−動作を様相論理学で記述する」
Embodiment of Grammar: Expressing Action Modal-logically

仁科弘之 ( 埼玉大学教養学部 )
Professor Hiroyuki Nishina, Saitama University

 

動作動詞にはその意味を視覚情報に大きく依存しているものが多い。ヒトは、運動体、特に運動する人間を見て、どのようにその姿勢変化を動作連続体として認知し、適切な名前を与えることができるのか。この発表では、局所的動作でありモデル化が比較的容易である手話などの手の動きを例にとり、運動体の各部の構造(単純化した骨格)の動きを「回転関数」として記述する。さらに、動作の回転関数集合をモデルとして見立て、このモデル上で関節間の移動使役についての存在式を評価することにより様相式をえる。これらの様相式を区間毎に繋ぐと、各動作の特性を表すフォルマントに相当するものが抽出できることを示す。このような運動のモデル論的解釈により動作動詞の意味がうまれると仮定すると、その解釈エンジンは認知的な移動使役であることがわかる。