ヒトとロボット:共同性とその成立基盤を探る
Human and robot: In search of mutual collaboration and its foundations

岡田美智男 (ATR人間情報科学研究所/京都大学大学院情報学研究科)
Dr Michio Okada, ATR Human Information Science Laboratories

なぜ私たちは他者と関わろうとするのか.なぜ他者を必要とするのか.対話やコミュニケーション,社会的相互行為の研究では,他者の存在は一つの前提として自明視されてきた.あるいは,他者に対して挨拶などを繰り出すとき,その他者は何らかの応答責任を抱くことが無意識に想定されている.ところが,ヒトとロボットとの社会的な関わりを考えると,これまで自明視してきた前提が見事に打ち砕かれることがある.ロボットたちに挨拶をしても,彼らはまだ応答責任などを感じてはくれない.そして,ロボットからの「ありがとう」の言葉にお礼の気持ちを感じる人もまだ少ないだろう.ロボットは私たちにとって「他者たり得るのか」,こうした問いは,私たちが社会的な存在であるとはどういうことかを考えるキッカケをも与えてくれる.本発表では,こうした視点からヒトとロボットとの共同性とその成立基盤について考えてみたい.