第24回公開講座「国際文化基礎講座」(8月1日〜受講受付開始します)

2017年8月7日

東北大学大学院国際文化研究科

第24回 公開講座「国際文化基礎講座」

『映像とイメージのカレードスコープ』

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1895年にリュミエール兄弟がシネマトグラフを発明し、 一世紀余りが経過しました。これにより人々は今までになかった実際の像を光学的、電気的に再現・記録した映像を手に入れることとなりました。本講義はこれら映像や映画に注目し、小津安二郎の映画、最近の韓国・中国映画のトレンド、そしてマイケル・ジャクソンの”Black or White”にみる多文化主義とアフリカ系アメリカ人の歴史を介して映像のイメージの表現、そして映画の過去と未来を展望したいと思います。

講義日程と各回テーマ

平成29年11月11日(土)14:00~16:20
テーマ:小津安二郎の“戦争”―忘却への抵抗としての映画―
講 師:寺本 成彦

平成29年11月18日(土)14:00~16:20
テーマ:最近の韓国・中国映画のトレンドをめぐって―岩井俊二『Love Letter』からの影響を中心に―
講 師:佐野 正人

平成29年11月25日(土)13:00~15:20
テーマ:マイケル・ジャクソンの”Black or White”にみる多文化主義とアフリカ系アメリカ人の歴史
講 師:山内 玲

平成29年11月25日(土)15:35~16:35
ラウンド・テーブル
各回の講師を交えた歓談の時間を設けました。
お茶やコーヒーを飲みながら3回の講義を振り返りましょう。

*11月11日(土)は13時40分から「開講式」を行います。






国際文化基礎講座とは
平成29年度講義の要旨
平成29年度講師の紹介
これまでに開催された講座
実施要領と申込方法
キャンパス案内図・交通機関

主催 東北大学大学院国際文化研究科
後援 予定 仙台市教育委員会


国際文化基礎講座とは

目まぐるしく変動する国際情勢、いまだに混迷を続ける日本経済、21世紀に突入していよいよ抜本的な対応を迫られる環境・資源問題、多様な宗教や文化に起因する国家間・民族間の軋轢など、私たちは、身の回りの様々な問題に直面しています。これらに対処するためには深い洞察力が求められることは、いうまでもありません。

平成5(1993)年に大学院国際文化研究科は、諸外国の言語や文化、国際的な文化の交流の意義やそれに内在する諸問題を深く理解し、高度の専門的な知識を有する研究者や実務者を養成することを目的として設置されました。さらに、平成27(2015)年にはますます加速化するグローバル化に学術的に対応すべく、本研究科は国際文化研究専攻という1専攻のもとに、地域文化研究系、グローバル共生社会研究系、言語総合研究系という3つの教育プログラムの単位を組み込んだ教育研究体制へと改編することになりました。このそれぞれにおいては自文化をも相対化できる深い異文化理解、グローバルな諸問題の解決能力とリーダーシップの養成、高度なコミュニケーション能力の涵養を目指し、その基礎の上により高度な専門的知見と能力を培うことを目標としています。

新たな門出を迎えた本研究科ですが、教員一同初心を忘れず、学問のあらたな地平を拓いていく所存です。市民の皆さま・地域の皆さまと問題意識を共有しながら、歴史を紐解きつつ、現代を、そして将来を見据えていきたいと思います。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

講義の要旨

11/11(土)14:00~16:20 (休憩10分)

※13:40から「開講式」を行います。

画像資料(寺本)

《1938年1月、中国戦線における小津安二郎と山中貞夫 (師岡宏次・蔵)》

小津安二郎の”戦争”—忘却への抵抗としての映画—

寺本 成彦(専門:フランス文学、映画論)






日本の中流家庭の情景を描く名手と見做される小津安二郎 (1903-1963) は、中国戦線への出征 (1937-1939) 、次いでシンガポールでの軍報道部活動・抑留所生活 (1943-1946) という過酷な経験をしました。“戦争”の実体験者として戦争映画を撮影したいという意欲が彼にはありましたが、それが実現することは実際にはありませんでした。それに対して戦後の小津の代表作は、戦後日本の家族とその日常を描くものであり、遺作の『秋刀魚の味』(1962) に至るまで<娘を嫁がせる物語>の系列がとりわけこの監督の作風を代表するとされます。

こうして“戦争”を封印してしまったように見られる小津の戦後の映画には、しかし過酷な状況下で理不尽な死を遂げていった人々への哀悼・借別が垣間見られるようにも思われます。『長屋紳士録』(1947)、『風の中の牝鶏』(1948) で戦争に翻弄された庶民を描く傍ら、『晩春』(1949)、『麦秋』(1951)、『東京物語』(1953) といった戦後の家族の風景を淡々と描いたように見える作品群に、戦争からの復興とともに忘れられつつあった“戦争”の痕跡が読み取られるように思われます。日常の仕草やさりげない言葉のやりとりを通して、一般市民の味わった無慈悲な体験の記憶を浮かび上がらせることが目指されていたのではないのか。小津映画の抜粋も参照しながら、それを確かめてみましょう。




 11/18(土) 14:00~16:20 (休憩10分)

画像資料(佐野)

最近の韓国・中国映画のトレンドをめぐって—岩井俊二『Love Letter』からの影響を中心に—

佐野 正人(専門:東アジアの比較文学、比較文化)






日本・韓国・中国(台湾)という東アジアのフィールドから最近の映画を見ていくと興味深い事実が様々見えてくる。21世紀に入ってから韓国ドラマ・映画が大きな注目を浴びるようになったが、その原点には1990年代の日本映画、特に岩井俊二の映画『Love Letter』(1995)が存在している。講義の前半では『Love Letter』を初めとした1990年代日本映画が韓国映画やドラマに与えた影響の大きさをめぐって見ていきたい。時間と空間を越えたラブレターが届けられるあり様や、ノスタルジックな学園生活の描き方などが中心テーマとなる。また、講義の後半ではそのような『Love Letter』の影響圏が台湾映画、そして中国映画にまで及んでいることを最近の台湾映画・中国映画を取り上げて論じたい。例えば、台湾映画の『あの頃、君を追いかけた(那些年,我們一起追的女孩)』(2011)や『狙った恋の落とし方(非誠勿擾)』(2008)を取り上げて論じる予定。ここ数年台湾・中国では青春を回想する青春回想映画の流行が見られるが、それらを『Love Letter』の影響圏として捉えかえし、東アジアの映画的な相互関連を見ていくことで、新たな東アジア映画の見方を提示していってみたい。





 11/25(土) 13:00~15:20 (休憩10分)

マイケル・ジャクソンの”Black or White”にみる多文化主義とアフリカ系アメリカ人の歴史

山内 玲(専門:アメリカ文学)






マイケル・ジャクソンの死から数年経った現在、その死に至る経緯には白黒のつかない謎が残されているが、それと同じくらいの謎として残されているのが、1990年代以降に顕著となる黒人ポップスターの<白さ>である。この白さとは、肌の色が明るくなったことを指している。この変化は、白斑という病気が原因だという本人自身の弁があったにもかかわらず、頻繁に繰り返された整形手術の副作用であるとか、幼少期の父親との関係に対する心理的反動であるとか、種々様々な憶測を招いたのだが、その中に<白人への憧れ>という人種意識、平たく言えば「白人になりたい」という願望が具現したのが肌の色の変化であったという憶測は興味深い。なぜかと言えば、これが真実であるかどうかはさておき、そうした推測を可能にする人種問題がアメリカ社会に根付いていることの証左となっているからである。

以上のことを念頭に置き、本講座では肌の色の変化が顕著になりだす1991年に発表されたショートフィルム “Black or White”の映像性をアフリカ系アメリカ人の歴史と1990年代に趨勢を誇った多文化主義という文脈に置いて考察したい。




ラウンド・テーブル 11/25(土) 15:35~16:35

各回の講師を交えた歓談の時間を設けております。お茶やコーヒーを飲みながら3回の講義を振り返りましょう。

講師の紹介


写真(寺本)

寺本 成彦(東北大学大学院国際文化研究科・教授・<ヨーロッパ・アメリカ研究講座>)
◆専門は、
フランス文学、映画論
◆主要著書・論文は、
「小津映画の“不在の中心”—『麦秋』、『東京物語』の<省二/昌二>をめぐって—」(2004)
「寺山修司におけるロートレアモン—書物からスクリーンへ、スクリーンから街へ—」(2014)
「モーパッサン「野あそび」からジャン・ルノワール『ピクニック』への道程(みちのり)」(2015)
「オルフェウス伝説の映画化—集団的想像力と個人的想像力による伝承と変移—」(2016)
◆本研究科での担当授業科目:
表象文化論、ヨーロッパ・アメリカ研究総合演習、ヨーロッパ・アメリカ研究特別研究、ヨーロッパ・アメリカ研究特別講義


写真(佐野)

佐野 正人(東北大学大学院国際文化研究科・准教授・<国際日本研究講座>)
◆専門は、
東アジアの比較文学、比較文化:日本・中国・韓国の近現代文学と戦後の大衆文化(映画)を中心とした研究
◆主要著書・論文は、
旅をする文学—明治三〇年代と東アジアネットワーク—」(1998)       「文学的国際主義とディアスポラの運命—昭和一〇年代・藤村・東アジア文学—」(『近代の夢と知性 文学・思想の昭和十年前後』、翰林書房、2000)
「『グエムル—漢江の怪物—』のジャンル・ミックス—韓流映画とは何か—」(2012)
「ポン・ジュノ監督『殺人の追憶』論—東アジア的風景としての一九八〇年代韓国の記憶—」(2016)
◆本研究科での担当授業科目:
比較社会文化論、国際日本研究総合演習、国際日本研究特別研究、国際日本研究特別講義

○20170627-0002

山内 玲(東北大学大学院国際文化研究科・准教授・<ヨーロッパ・アメリカ研究講座 >)
◆専門は、
アメリカ文学:20世紀の小説を人種問題の観点から考察することを研究テーマとしています。とくに、ウィリアム・フォークナーの小説やゾラ・ニール・ハーストンやジョン・エドガー・ワイドマンといったアフリカ系アメリカ人作家の作品を中心に研究してきました。
◆主要著書・論文は、
「物言えぬ「白痴」と黒人の声 : 『響きと怒り』におけるベンジーの「黒さ」」『アメリカ文学研究』  47 (2011) pp.37-52.
「Lena Groveを巡るFaulknerの人種意識 : Light in Augustにおける人種と母」『英文學研究 』 84 (2007) pp.109-122.
◆本研究科での担当授業科目:
アメリカ文芸論、ヨーロッパ・アメリカ研究総合演習、ヨーロッパ・アメリカ研究特別研究、ヨーロッパ・アメリカ研究特別講義

実施要領と申込方法

~会場~

仙台市青葉区川内41番地(東北大学川内北キャンパス)
マルチメディア教育研究棟6階大ホール
地図

~対象~

どなたでも参加いただけます。

~募集人数~

100名(先着順にて締め切ります。)

~講習料~

一    般:3,000円
リピーター:2,000円(過去に本研究科公開講座の受講経験がある方)
学    生:1,500円
3回出席した方には、『修了証書』を交付いたします。

~募集期間~

平成29年8月1日(火)~10月6日(金)

~申込方法~

ハガキ、FAXもしくは電子メールで、
①氏名(フリガナ)
②年齢
③性別
④職業(学生は学生証のコピー添付)
⑤現住所
⑥電話番号
⑦過去の受講経験の有無

を、国際文化研究科教務係までお知らせ願います。

後日、講習料の納付方法等についてご連絡いたします。
申し込みの際に必要な受講生の情報を、連絡先の把握及び今後の公開講座運営上
の統計資料作成以外に、使用することはありません。
※今年度より駐車場の利用ができませんので、公共の交通機関をご利用ください。
なお、ハンディキャップのある方は、事前にご連絡ください。

申込・問合先

東北大学大学院国際文化研究科教務係
〒980-8576 仙台市青葉区川内41番地
TEL 022(795)7556、FAX 022(795)7583
E-mail int-kkdk@grp.tohoku.ac.jp

キャンパス案内図・交通機関

会場はマルチメディア教育研究棟6階大ホールです。

※不鮮明な場合はクリックすると画面が大きくなります

●駐車場の利用ができませんので、公共の交通機関をご利用ください。
なお、ハンディキャップのある方は、事前にご連絡ください。

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